2008年09月22日

ありがとうございました

修士論文も提出し、日本に無事帰国したことをご報告できたところで、このブログをお開きにしたいと思います。ドラッグストアに寄った時に、化粧品などの広告に出ている芸能人で知っている人が殆どいないことに少しショックを受けました。そもそもTVはほとんど見ませんが、時間の流れを感じて焦りました。

アメリカとイギリス足掛け3年の勉強の日々でしたが、それまで馴れない異国での勉強や生活で色々苦労しました。そんな中を何とか乗り切ることができたのは、皆様の温かいご声援があったからと思っています。イギリスでのこの1年は日本ともアメリカとも違う価値観に触れることができて大変有意義なものでした。日本はアメリカとの付き合いが多いので、アメリカの価値観は必然的に入ってきますが、イギリスはビジネスや社会の価値観そのものが違いました。例えば、便利さ・快適さよりも伝統に対する誇りをかなり重視するところなどは、日本とアメリカを見てから経験すると非常に新鮮でした。そんな価値観に加えて、ビジネススクールの学生が多様性に富んでいたため、単にヨーロッパだけではなく、アジア・アフリカの多様な価値観を学ぶことができたことは、これからの大きな糧になると思います。

日本はビジネス・政治・社会も欧米とは全く異なりますが、それぞれ長所・欠点があります。海外にいて自分も感じたし、他の海外にいる多くの日本人も危機感を感じているのが、情報の閉鎖性です。海外での日本の存在感はますます縮小しつつあります。そんな危機的な状況がなぜか日本国内ではあまり伝わってこないのが残念なところです。アメリカや他国のビジネスや政治が必ずしも正しいとは思いませんが、グローバルでの大競争時代に突入して、多くの国がその変化にスピーディーに対応する仕組を作ろうとしている中、日本の動きはどうしてもスローに見えてしまいます。日本は政治経済の構造的な問題が色々あるので、まだまだ時間は掛かるかもしれませんが、日本も情報の透明性を高め、ビジネスも変化への対応を前提とした柔軟性のある組織を作って行く必要があると思います。

イギリスを離れる直前に、あるイギリス人の老夫婦と食事をする機会がありました。ご主人の方は、今はもう希少になってしまった典型的なイギリスの紳士で、物静かな中に、誇りと相手への深い敬意を感じました。また奥様の方も敬虔なクリスチャンでした。その奥様がおっしゃっていたのが「自分をシェアする」ことの大切さです。自分の持っているものを社会に還元して行くことに人生の充実を感じている、そんなお二人にとても感激したことを覚えています。ビジネスとは極言すると金儲けの手段でありますが、アメリカにもイギリスにも社会に還元するという考え方を持つ人が多く、私自身も何を自分がお世話になった人や社会に返すことができるのかを、この留学を通じて深く考えるようになりました。自分のビジネスがある程度ひと段落したら、投資や教育など何らかの形での恩返しができればと思います。

さて私の今後ですが、色々な方向性を考えていることもあり、まだ決まっておりません。次の仕事は今後のキャリアの上でも非常に重要になるので、ある程度時間をかけて考えて行きたいと思います。ご報告はまた別の機会になるでしょうが、MBAで学んだことを使って新しいことが色々できればと思います。

今までありがとうございました。また日本のどこかでこのブログを読んで頂いた皆様にお会いできる日を楽しみにしております。


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2008年09月20日

Minneapolis

大変ありがたいことに、アメリカ時代の友人がミネソタに招待してくれたので、卒業旅行も兼ねて、ミネアポリスに滞在しました。折角の滞在なので、懐かしのインディアナまで足を伸ばしたかったのですが、引越しの疲れで体調を崩したこともあり、

結局ミネアポリスでのんびりと過ごすことに。滞在したところは湖畔の景色がきれいな所で、毎日のように散歩していました。

Minneapolis

写真の先に見えるのがミネアポリスのダウンタウン。ミネアポリスで最も有名な観光名所はMall of Americaというモールです。

Minneapolis

このモールは上の写真のようにモールの内部に遊園地や水族館があるマンモスモールで、夜遅くまで多くの観光客が訪れます。モールの端から端まで歩くだけでも、ヘトヘトになりました。下はミネアポリスのシンボルのミネアポリス彫刻庭園にあるスプーンとチェリーのオブジェです。

Minneapolis

大き過ぎて当然食べることはできません。

ミネアポリス自体も大きな都市なのですが、所得レベルも全米の中でも高く、ゆったりした雰囲気が漂うとてもリラックスできる町でした。ここではインディアナ時代にお世話になった日本人の友人が二人働いているので、また是非リラックスしたいときに訪れたいものです。

のんびり過ごしていたので、CNNやCNBCを見ている時間が長かったのですが、ご存知のようにこの1週間は金融危機や株価の歴史的な上下動など、アメリカ経済にとって歴史手的な1週間になり、TV上でもその報道がダイナミックに流れていました。それにしても、アメリカの政治がこの危機に対して取っているアクションが実に速いのに鳥肌が立つ思いでした。「日本のバブル崩壊の失敗を繰り返すまい」というのが彼らの意識としてあったようなのですが、株価が歴史的に下がったその日の夜に会合を開いて、翌朝に経済対策を出して株価下落を防ぐなど、強いリーダーシップを感じました。彼らが取った行動が正しかったかどうかは後々明らかになると思いますが、金融政策・経済対策が全て後手に回り、10年以上不況に苦しめられた日本との違いを見るにつけ、このスピードとリーダーシップがアメリカの強さの源泉として存在しているのだなあとしみじみ感じた1週間でもありました。

アメリカは土地も広く、人も陽気なので、ある意味「旅行している」という気分を楽しめる国です。ゆったりした雰囲気とスピード溢れる政治・経済の不思議なミスマッチがまた面白い国でもあります。
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2008年09月13日

Peak District

修士論文の提出に最後まで手間取って、結局提出は期限ギリギリでしたが、何とか出し終わりました。これで1年のプログラムが全て終了しました。やはり1年制のプログラムなので、非常にタイトであっという間に時間が過ぎていった感があります。MBAの同僚も含めて、今後もビジネスで関わりがあるであろう重要な出会いも幾つかありました。最後にそんな仲間達と分かれるのはやはり名残惜しいものがありますが、世界中から学生が集まっているので、このつながりはこれからも活きてくるのではないかと思います。

さて、最後のイギリス旅行として、バタバタと日帰りで、イギリス最初の国立公園Peak District National Parkに行ってきました。この公園を聞いたことのある人はあまり、多くないと思いますが、イギリス人の友達がイチオシしていたので、足を運んだら大当たりでした。ここは丘陵と湖の周辺の景色が大変美しいところで、ハイキング用のFootpathが至る所にあって、多くの観光客がハイキングを楽しんでいます。イギリスのほぼ中央に位置するロケーションの良さも、都市から日帰りでやってくるのに便利なところです。起伏のある丘陵に羊が住み、少し上に上ると、断崖絶壁の上に登って、周囲の景色を楽しむこともできます。

写真をたくさん撮ったので、載せておきます。

Peak District

Peak District

Peak District

Peak District

Peak District

Peak District

Peak District

青空と低い雲、どこまでも続く緑の丘はため息しか出てこないような美しさでした。アメリカの雄大さとはまた違った魅力のあるこの国の景色ですが、またいつか見に戻って来たいものです。今度は観光だけで。アメリカと違って、この国は狭いので、周辺に他のNational Parkがいくつもあって、有名なLake Districtも遠くありません。国土が狭いので、まとめて周れるのもこの国の利点でしょうか。
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2008年09月07日

音楽と風景

イギリスのラジオで、Classic FMというチャンネルがあるのですが、クラシックだけではなく、ジャズや映画音楽などもやっていて、センスの良いチョイスが大変気に入っています。そこでヨーロッパで有名なピアニスト・映画音楽家のLudovico Einaudiの音楽が流れていて、最近ハマっています。「Le Onde」という曲が特にお気に入りなのですが、聞いているだけで深くのめりこんでしまう良い曲です。

http://www.youtube.com/watch?v=Gr4FN_DOpSk

先週末、学生時代の友人夫婦に会いに、ロンドンへ。世界遺産の植物園、Kew Gardenとイギリスの一大観光地Windsor Castleへ。

Kew Gardenはガラス張りの温室に熱帯の植物が大量にあり、外は広大な庭園。まともに見ると1日かかるので、ピクニック気分で行くと良いかも。でも13ポンドはちょっと高い。。。

週末

週末

週末

ウィンザーは女王が週末を過ごす場所として有名ですが、人ごみがすごくてちょっと疲れます。でも城と石畳が美しい町で、過去へのタイムトリップ気分は十分味わえる町です。

週末

翌日、ロンドンナショナルギャラリーに行きましたが、中世から印象派まで絵画が充実していて、しかも入場料タダ!ロンドンは物価が高いですが、大英博物館とナショナルギャラリーは無料なので、この2つだけでも十分楽しめます。ロンドンを訪れることは当分ないでしょうが、バスに乗って景色を見ているだけでも面白い町です。

ナショナルギャラリー

私の通っている学校はカリキュラムが今月で終了するのに、なぜか卒業式が来年の7月にスケジュールされています。そんなに先延ばしになって、イギリスにまた足を運ぶ余裕があるかどうか疑問ですが、キャンパスの広大な芝生に寝そべって雲をボーっと眺める至福の時間を1日でも良いのでまた体験したいと思っている自分がいます。

風景

風景
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2008年08月30日

ビジネスプランニング・ノート

散歩道

10週間にわたるプロジェクトが終了しました。プロジェクトの内容は、ビジネスを始めたいというNGOのためにビジネスアイディアを出して、ビジネスプランを作るというものでした。結局、Web上であるサービスを売ることに決まって、クライアントも満足してくれたようなので、とりあえずは良かったです。ただ、NGOは初期投資で資産を増やして、それを使って収益を稼いで行く、毎期販売計画を立てて、みたいなビジネスマインドそのものが無いので、ビジネスアイディアそのものよりはそのあたりのインプリのプロセスをかなり細かく説明したビジネスプランになりました。このビジネスを成功させるために今の組織に足りないものをかなりずけずけ書いたものを出したので、結構クライアントにとっては渋い内容だったかもしれませんが、お互いにぬるいものを作って、自己満足で終わるよりは良いと思っています。

疲れたけど、面白かったです。ここ1年でフルコンプリートのビジネスプランを書いたのはこれで3回目になりますが、書けば書くほど良い物ができあがってきます。ビジネスモデルも欠陥がたくさん見つかって、それを補うためにする工夫とか試行錯誤するきっかけになります。右脳左脳総動員で考えまくりでしたが、思考訓練としても良いきっかけになりました。

さて今回は備忘録を兼ねてですが、どのようにビジネスアイディアを生成して、ビジネスプランを作り上げていったかをメモ書きします。所詮MBAの卵がやったもので、どこまで使えるか疑問ですが、これから起業を考えているけどアイディアを作る段階という人に少しでもお役に立てればと思います。ビジネスプランニングに興味が無い方はここから先は無視してください。

1;クライアントの要件をヒアリング。NGOがビジネスをする上での問題点などをHarvard Business Reviewなどの学術ジャーナルとかから収集する。これらからそのビジネスが満たすべき要件をリストアップする。今回のケースでは低予算、そのNGOの活動とある程度リンクしていること、ある程度の需要が見込めることなどが要件として挙がった。
2;1の要件をベースにして、イギリスのマクロ経済の状況などを大まかに調べる。どのマーケットが延びているとかざっくり。
3;個人のブレインストーミングを開始。ビジネス機会になりそうなものをとにかくたくさん出す。この際に、Kim and MauborgneのBoundary-hopping frameworkを使う。これは既存のビジネスから新しいビジネスを作りたい時に、既存のビジネスが確立してきた前提条件を変えてみるというものです。具体的には、
−代替産業(Substitute Industries)
−異なるカスタマーグループ(Alternative Strategic Group)
−タイミング
−購入者への機能面・感情面へのアピール(Functional and Emotional Appeal to Buyers)
−異なる購買決定層へのアピール(Non-conventional parts of the buyer chain):例えばBloombergはそれまで情報技術マネージャー対象に売っていた競合ではなく、投資アナリスト向けに番組を売って成功したとか
−補完製品(Complementary products and services)
の6つを取り替えてみて、ビジネスチャンスがあるか探します。これはブレインストーミングを発展させて行く時に役に立ちました。後は、ネタがたくさん出てきてごちゃごちゃしてきたらイシューツリーを使って、ビジネスを分類すると、そこにツリー化されていないものなども考えることになり、思考が深まります。
4;似たような関心を持ったMBAの人達とブレインストーミングをしてネタを提供してもらう。大体の背景を説明して、1の要件も説明して、ネタを提供してもらう。この時点でネタは100個近くまで膨らみました。
5;Osborn Checklistというフレームワークを使って、ネタをくっつけたり、増やしたりする。これはビジネスアイディアをadapt,modify,magnify,minify,substitute,rearrange,reverse,combineの8つのどれかに当てはめてさらに発展させられるか考えるというものです。似たようなものはcombineしたります。

※アイディアを練る上で個人的に役に立ったと思ったのが、イシューツリーとOsborn Checklistの組み合わせです。イシューツリーそのものも考えを整理したり、捻り出すのに役に立ちますが、Osborn Checklistで色々な角度から検証すると更にツリーがしっかりしてきます。

6;1の要件に照らしてパッと見て明らかに反しているものは落としたり、マージさせてスクリーニングする。最終的に20個ぐらいまで減らす。
7;6の10個に対してCriteria Gridを作る。これは各アイディアを1の要件に関して5段階で点数付けします。合計点が最も高いものがビジネスとしてある程度可能性が見込めるものとなります。ここでは逆に点数の明らかに低いビジネスを捨てるために使いました。最終的にネタは7つまで減ったので、それぞれのアイディアを1の要件に関して、なぜ選んだのかをレポートにして、クライアントに提出。
8;クライアントから「もっとこうして」「こんなのも良いんじゃない」という注文が来るので、それを元にまた3-7のプロセスを繰り返してアイディアを練る。最終的にネタは3つに絞られました。
9;クライアントがその中から1つ選択して、とりあえずビジネスのネタ出し部分は完了。次はマーケティングプラン。低予算でNGOがやるようなビジネスは大抵、もう競合が存在するので、その競合が手を出していないニーズにフォーカスするしか生き残る道はないので、マーケットリサーチは非常に重要。マーケットリサーチは以下の内容を調べる。
−そのビジネス関連のマクロ経済:P(Political)E(Economic)S(Societal)T(Technological)L(Legal)E(Environmental)のトレンドを見る
−その産業のマーケットサイズを既存のジャーナルやWebリソースから見積もる。Porter's 5 Forcesを使って、その産業のRivals,Suppliers,Buyers,New Entrants,Substitutesを調べて、全体的な質的な構造を捉える。
−Key Customer Valueを探す。これは実際の潜在的な顧客にヒアリング。そのビジネスにどんなものを顧客が求めているのか満たされていないニーズを探す
−そのNGOの組織的な強み弱みを見る。7s(SharedValue,Strategy,System,Structure,Style,Staff,Skills)の角度から多角的に何があって、何が無いか、無いものはどうやって作って行くかを検証。
−競合分析。代表的な競合のポジショニング、強み弱みをチャート化する。
10;マーケティング戦略構築。潜在顧客を年齢や消費行動からセグメント化。9の分析から客のニーズや競合が手を出していないところを検証して、どのセグメントにどんなポジショニングで売るかを決める。ターゲットにしたセグメントのそれぞれのニーズや競合、取るべきポジショニング、潜在需要などをチャートにまとめる。
11;売り上げ予想を立てる。ここは仮定に基づいて出すしかないので、「3年間で特定セグメントでシェア1%」とか実現可能な目標を決めうちで、3年でどれだけの収支予想になるかをエクセルで出す。予測損益計算書、予測貸借対照表を作る。損益分岐点売り上げを計算する。
12;11の売り上げ予想を元にマーケティング予算を出す。大体売り上げの10-15%ぐらいが一般的な標準予算。
13;マーケティングミックス(Price,Product,Distribution,Promotion,People)をどのように進めて行くかを考える。プロモーションに関しては12の金額から、使える予算が決まるので、その範囲でできるプロモーションを考える。Web上のビジネスだと、ViralMarketingとかオンラインPRとかEmailマーケティングとか低予算でできるプロモーションはそれなりにある。
14;オペレーションに関して、製品を作って販売するまでのサイクルをチャートにまとめる。大雑把なパフォーマンス指標を提示して、それを定期的に分析する仕組を提示する
15;マーケティングに関して、お金を掛けるだけの価値があったのか定期的に分析するためのチェックリストを出す。例えば、バナー広告に関して、どれだけの人がクリックして、その中でどれだけの人が買ったか。検索エンジンの上位に表示されているか(SEO対策)。顧客満足度の動きなど。

参考文献
Bragg and Bragg, "Developing New Business Ideas"
Barrow and et al., "The Business Plan Workbook"
Dibb and et al., "The Marketing Planning Workbook"
Chaffey and et al., "Internet Marketing"
posted by zak at 01:10| Comment(2) | TrackBack(1) | Study | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年08月24日

50%な生き方

今回のエントリは少し長いので、ベンチャー経営に興味のない方は読み飛ばしてください。

先日、中国で起業を考えているMBA生と話をしていた時に、「50%ぐらいビジネスとして勝てる確率があれば、そのビジネスをやるべき」という言葉を聴いて、少しハッとしました。というのも、私が以前から持っていて数字と一致したからです。別に、50%というのはちゃんと定義された意味ではなく、あくまで何となくですけど。人の性格や、環境によって勿論、この数字は変わってくるものですが、大体周囲で起業を考えている人のリスク感はこの50%-70%ぐらいに何となく落ち着きます。70%ですらかなり高い方。何でかなりの労力と金を掛けての挑戦なのに、こんなに低確率で良いのか?50%を下回ると、多分にギャンブル的になるけど、50%と答える人の大半は、起業って走りながら考えるものだと知っているからかも知れません。起業に関してこれだけは100%はっきり言えることは、失敗と学習をひたすら繰り返して最後にマーケットを切り開いた人が勝つ世界だということです。ビジネスが大きくなるに従って、マネジメントに要求されるスキルは変わってくるので、失敗は企業の成長には必ず着いて周るものかもしれません。ただ今は50%だけど、その後経験を重ねていけば、50%を80%まで上げることは可能です。実は、一つのビジネスに執着しない人も多く、幾つかビジネスプランを持っていて、あるビジネスプランは別のビジネスプランの顧客を獲得するための手段と割り切ってビジネスをしているエンジェルも欧米には数多く存在します。そんな楽観的過ぎるようにも見えるリスク感が、多少不透明な部分があっても、それに飛び込んで行く起業家達の共通する特性なのかもしれません。勿論、リスク分析はどんな起業家もある程度していますが、分析なんてどんなに時間を尽くしても100%には決してなりません。後は飛び込む気持ちがあるかどうかです。

ビジネススクールではEntrepreneurshipという名前の入った授業はどこも色々ありますが、特に「これ」という形があるものではなく、既存のマーケティングやファイナンス、マネジメントの中小企業関連の部分を引き伸ばしているものがほとんどです。起業家というのは、スキルとしては広く浅くで、あるスキルが長けているというよりは、常に嗅覚を研ぎ澄ましてビジネス機会を発掘する方が重要です。そしてVCやビジネススクールの教授も口を揃えて言うのが、ビジネスモデルやテクノロジーの革新性以上に大事なのが、マネジメントチーム、つまり実行している人だということです。この最初に構成されたチームがどれだけ経験を持ち、性格的にもお互いに補完的であるかということがかなり重要になります。結局、製品やビジネスモデルより、そのビジネスを最後までやりきれるかできるかが大事だということですね。投資家の立場からすれば、良いプロダクトがあっても、マネジメントに実行力が無いなら、そのマネジメントをクビにして、実行力がある人にプロダクトを渡すだけです。当たり前の話ではありますが。

先日、総務省がベンチャー起業家向けの経営手引きの資料を公開しました。
http://www.soumu.go.jp/s-news/2008/080307_3.html
起業に興味のある方は是非、ご一読をお勧めします。恐らく、日本でもかなりベテランのVCの誰かが書いた内容かと思われますが、説得力のある事業計画書作成のコツやVCとの付き合い方など、びっくりするようなレベルでのノウハウが網羅されています。このような文書が政府から出たというのは、ある意味、中小・ベンチャーの危機的状況の裏返しとも言えます。でもあと10年早く出ていれば、救われたベンチャーも数多くあったかもしれません。

中小企業白書
http://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/h20/20TyuushohPDF20080418/01.pdf
で発表されているのですが、日本では90年代以降、企業の開業率が廃業率を下回る状況が続いていて、経済の新陳代謝の停滞がかなり強く出ています。合併なども無論ありますが、15年間企業の数が減り続けるという現象は、目先の景気よりよほど深刻です。「失われた10年」というのがここにも滲み出ていて、結局大企業が競争力を高めて行って、そのお陰で日本の景気もギリギリ踏み留まっていたけど、サブプライム・原油高・土地バブル崩壊など、パンチを食らい続けて、土俵際近くまで来ているというのが今の現状のように見えます。ただ、不景気だとしても、企業再生や格安ビジネスなどこういう時期にも伸びるビジネスは存在します。こういう状態だからこそ、新しいビジネスの形を作って起業という形で社会に提案する人が出てくればと願っています。

日本は事業に失敗した場合のセーフティーネットが欧米に比べて弱いことは常に指摘されていることですが、そういう政策レベルの話よりも、社会の事業失敗者に対する寛容さのようなモラル的な面とか、学校でリスクを恐れずチャレンジする尊さを学ばせる機会が無いなど教育の影響も大きいように感じます。人口減少が避けられない社会で少しでも付加価値の高いビジネスを生み出して行くには、起業家のようなリスクテイカーが絶対必要になります。リスクを全く考えず飛び込む人はただの無謀ですが、50%というリスク感を持っている人達がもう少し動きやすい社会になることを願いたいです。結局、そんな人達のビジネスモデルに影響されて大企業も変革を迫られるし、社会も変わって行くのかもしれません。
posted by zak at 07:23| Comment(2) | TrackBack(0) | Diary | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年08月17日

時代遅れ

アジアから遠く離れて、TVも無いので、オリンピックもどこ吹く風というところですが、海外に長い間いると、日本での流行りとかが全く分からなくなります。たまに日本のニュースで芸能人とかが出てきても、「誰、これ?」ということもしょっちゅうです。

というわけで、全て人づてで、遅いよとお叱りを受けそうですが、芋洗坂係長って面白いですね。YouTubeでマイケルジャクソンとジプシーキングスをパクってた映像を見ていたら、腹痛になりそうなぐらい笑ってしまいました。勉強しないで何をやっているんだか。

そんな感じで、修士論文も前方にかすかにゴールが見えてきて、少し余裕が出てきたので、卒業後に備えて、別の勉強も始めました。1つ目は中国語。先日、学校で基礎は習ったのですが、その後、復習をすっかり忘れていました。始めたからには、せめてビジネスレベルぐらいまでできないといけないと一念発起し、中国語検定とか申し込んでしまいました。しかも無謀にもちょっと上のレベルで。何か、必要な勉強時間300時間以上って書いてあるんですけど。自分で申し込んで顔面蒼白になってます。

2つ目は企業価値評価、いわゆるValuationです。少し先の話になりますが、自分が身に付けたものを自分を育ててくれた社会に少しでも還元するためにも、将来環境とかソーシャルベンチャーとか教育とか社会に役立つ事業に取り組んでいる人達にエンジェルとして投資することができればと思っています。ただ、お金をばらまくということではなくて、その会社の将来性と現状の問題点をきちんと見極めて、時には口出しすることも必要になると思うので、事業性やマーケットをきちんと評価できるように、財務諸表の読み方と将来予測をこれを機会にきちんと勉強し直したいと思います。こちらはテストがあるわけではないので、のんびりやってますけど。

下の写真は家の近くの池に住んでいる白鳥の親子です。子供もまだ灰色ですが、だいぶ大きくなってきました。何もしないでも時間だけは確実に過ぎ去って行くので、残り1ヶ月悔いの残らないようにがんばります。

白鳥の親子

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2008年08月02日

耳を揃えて払ってください

先日、クライアントとのミーティングでロンドンに日帰りで足を伸ばしたときに、ロンドン観光の目玉でもあるバッキンガム宮殿の衛兵交替式を見るチャンスがありました。平日にも関わらず多くの観光客が押しかけていましたが、ふわふわの帽子を被った衛兵は勇ましいというよりはかわいい感じで、見てて微笑ましさを感じてしまいました。

バッキンガム宮殿

バッキンガム宮殿

正午前後から楽隊に先導されて、午前中警護をするOld Guardsと午後の警護をするNew Guardsが入れ替わります。これだけでも大きな観光名所になるので、日本もやってみたらどうでしょうか?皇居とか首相官邸を警護する人にサムライの格好になってもらって、交替する時に虚無僧の演奏に先導されて、サムライが道路を行進するとか。無理か。

さて、イギリスはヨーロッパで最も早く1989年に電力が自由化された国です。そのお陰でたくさんの電気会社から好きなところを選択できます。自由化というと、競争が促進されて、価格も下がり、消費者の恩恵も大きいというのが一般的なセオリーですが、そうなっていないのがイギリスの現状です。

まず価格。現在イギリスポンドは約215円ですが、この為替レートで考えると、私の使っている電気会社は1kwh辺り22.79円です。東京電力のページ(http://www.tepco.co.jp/e-rates/custom/shiryou/tanka/denryoku-j.html)で見ると、1kwh辺り、11.38円なので約2倍です。現在、ポンドが強すぎることや、イギリスでは他に少し安い業者がいることを考慮しても、1kwh辺り17円程度が考えられる最安値なので、かなりコストが高いことが分かります。というわけで私も爪に火を灯すような生活をしていても電気代は月5000円以上かかったりしてしまっています。

あとは周囲の話を聞く限り、イギリスではこの競争の激しさで、逆に料金の過剰請求が常態化しているようです。私も先日、大家が勝手に電気会社を変えた時と、先日アパートを引っ越したときに、電気会社が過剰請求してきて、その過剰請求とのバトルに無駄なパワーを費やしました。自分達が引っ越してくる前の住人の未払い分を当たり前のように請求してくるので、唖然としてしまうのですが、イギリス人ですら泣き寝入りするケースが多いようです。先日の引越しでは5000円分ぐらい自分が引っ越すときに読んだメーターの数字よりも余分にサバ読んできたので、カスタマーサービスにクレームを上げて訂正させました。イギリスに住む場合は、引っ越してきた当日と毎月末、引っ越す当日にガス・電気のメーターを読んで、カメラで証拠を押さえておく作業が欠かせません。アメリカにいた時もケーブルTV会社が勝手にサービスを追加して料金を上げてきたので、バトルになったことがありました。結局、日本にいた時はあまり発生しなかったようなトラブルもあったりして、契約書や請求書の数字を隅から隅まで穴が空くほど読んだりするのに無駄な時間を費やさざるを得ない時もあります。

という訳で、結局自由化の恩恵ってケースバイケースだとしみじみ思わされた今日この頃です。日本のように消費者が優位過ぎると、競争によって卓越したサービスを受けられる反面、過剰なサービスで企業・従業員が体力をすり減らしてしまうことが往々にしてありますが、イギリスのようにサプライサイドが優位過ぎてもモラルハザードが起こってくるので、規制緩和を上手く行うって本当に難しいなあと思います。

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2008年07月26日

ギネスに挑戦

今日はキャンパスにブラウン首相が来ていたので、人だかりやカメラが凄いことになってました。
http://news.bbc.co.uk/1/hi/uk_politics/7524003.stm

さて、イギリスの格安航空Ryanairがプロモーションで、バーミンガム−ダブリン間約3000円(燃料・税金込み)という叩き売りチケットを出していたので、目ざとく見つけてほいほいとアイルランドに初めて行って参りました。バーミンガムから1時間と非常に近いところにあります。

Ireland

Ireland

町並みは典型的なヨーロッパ風の綺麗な感じで良い所でした。ツーリストインフォメーションで海岸線が綺麗な場所を聞いて、Dulkeyという町に向かいました。ダブリンからバスを乗り継いで1時間30ぐらい。

Ireland

Ireland

城や海岸線の綺麗な町で、静かな良いところでした。海も綺麗で釣り人がたくさんいました。

さてアイルランドのダブリンと言えば、何と言ってもビールのGuinnessが有名です。この町はパブのほとんどにギネスの看板が架かり、ラグビーなどのスポンサーにもなっていて、ビールだけではなくギネスマークの入ったシャツや文房具などグッズが売られているギネスの町なのです。

Guinness Storehouseではギネスビールの生成過程を細かく紹介していて、この町最大の見所でもあります。

Ireland

Ireland

最後は最上階にある展望台で、お約束の試飲を楽しむことができます。イギリスでもどこでもギネスは安く飲めるのですが、ご当地で飲むギネスはまた格別です(←単純)。

Ireland

この工場から毎日300万パイント(パイントはビールのでかいグラス1つ分)のギネスが世界中に出荷されるそうです。先日のバドワイザーの合併ニュースとかありましたが、GuinnessはDiageoという飲料系コングロマリットの傘下のドル箱ブランドです。今後予想されるビール業界の再編の流れの中でも、こういう強力なブランドを持っている企業は強いですね。

最後は目抜き通りTempleBarにあるアイリッシュパブでアイルランド音楽を聞きながら夕食。素朴な音楽に癒されながら時間が経つのを忘れました。

Ireland

もしこういうパブに興味がある方がいましたら、Oliver St. John Gogarty(58/59 Fleet Street, Temple Bar)がおすすめです。しょっちゅう誰かが演奏していますが、ミュージックチャージは無しで、食事の価格も良心的です。食事はSeafood Chowderがおすすめ。海際なので、美味しいシーフードがごろごろ入ったチャウダーです。価格も1000円前後で、パンつきなのでこれだけでお腹一杯になります。

食事もギネスも景色も楽しめたのでなかなか満足度の高い小旅行でした。アイルランドはアメリカ人観光客がマジョリティというぐらいアメリカと交流が深い国ですが、一般の人達の話を小耳に挟むとイギリスの悪口を言っていたりして、微妙な国際関係が少し感じられもした旅行でした。
posted by zak at 04:42| Comment(2) | TrackBack(0) | Travel | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年07月20日

Mental Toughness

Public Foot Path

先日、Steve Bull『The Game Plan』という本を読みました。精神的なタフさを鍛える手法を説明した本で、筆者はスポーツ選手・ビジネスパーソンなど多くの人にアドバイスをしてきた人なので、普通の人にとっても面白い内容があったので、少しご紹介したいと思います。

Mental Toughnessというのは色々な場面で試される一つのスキルです。皆さんも、

「彼・彼女は精神的にどん底にあったが、見事に立ち直った」

「彼女・彼はすごく疲れているだろうに、そんなことを微塵も見せずに明るく振舞っている」

「そこはパスじゃなくてシュートだろ、柳○ァァァァ!!!」

などなど、自分・他人の精神力に感心・イライラを感じたことは少なからずあると思います。欧米ではリーダーシップや精神力といった、生まれつきと考えがちな特性に関しても、トレーニングで伸ばすことができると考えているので、精神力を鍛える関係の研究はたくさんあります。特にオリンピックなどの大きな大会では金メダリストと銀メダリストの力量にはあまり差がなく、最後は精神力で決まる場合がほとんどなので、アスリートの現場での研究・実践が盛んです。ですが、ビジネスでもあるだけで非常に有意義なスキルになります。この本ではToughnessが4つに分類されています。

Turnaround Toughness:逆境から立ち直る精神力
Critical Moment Toughness:ここぞという大事なときにパフォーマンスを発揮する精神力
Endurance Toughness:忙しいときでも精神・肉体の活力を保つ精神力
Risk Management Toughness:タフな決定が求められる時に発揮される精神力

詳しくは書籍に譲りますが、Turnaround ToughnessとEndurance Toughnessを少しお話します。Turnaround Toughnessは誰しも厳しいビジネスの現場で落ち込んだ時に持っていると強力な武器になります。人間は良かったことよりも悪かったことをクローズアップする傾向があるそうで、一度落ち込み始めるとどんどん悪い方に考えて、良かった時のことを忘れてしまう生き物だそうです。で、このタフネスを身に付けるには、人生の中で最も誇るべき12の成果を、「なぜ」というところまで含めて詳しく書き、それを半年毎に更新すると良いそうです。この成果は仕事に限らず、学生時代に作文コンクールで入賞したとかでも、何でもOK。落ち込んだ時にその成果を見て、良かったときの記憶で中和するというわけです。また何か落ち込むような出来事・失敗が起きたときは、「そこから何を学んだか」を紙に書いて、その出来事自体はあまり引きずらないようにすること。

Endurance Toughnessに関しては、ストレスを司るホルモンの分泌を抑えるのが肝になります。ホルモンを抑えるのは運動・栄養・リラックスの3つ。運動は毎日最低20分、階段の上り下りとかウォーキングでも良いからとにかく体を動かす機会を必ず作ること。栄養に関しては、どんなに忙しくても朝食だけは必ずしっかり採ること。疲れたときはお菓子など糖分を取りたくなりますが、実はこれは厳禁だそうです。短期的には元気になるように見えるそうですが、長期的にはマイナスになるそうなので、お菓子よりはヨーグルトやフルーツで補った方が良いとか。リラックスに関してはこれも1日10分誰にも邪魔されない時間を作って、深呼吸をしたり、ゆっくり数字を数えたり、こぶしを握り締めて少しずつ緩めるといったことをすると良いそうです。

「平常心」ってどんなシーンにおいても理想の状態ですが、常に100%のパフォーマンスを発揮できる術を身に付けていれば、それだけで下手なビジネススキルより全然役に立つのかもしれません。

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posted by zak at 05:01| Comment(4) | TrackBack(0) | Diary | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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